矢沢永吉さんの自伝的エッセイ「成りあがり」を読んでみました。
以前から気になっていた矢沢永吉という男
矢沢さんのことはそんなに知りませんが、以前から気になる人物ではありました。
学生のころ、コカ・コーラのCMで流れていた矢沢さんの曲がずっと心に引っかかっていました。
先日、YouTubeで見つけたので早速お気に入りに登録しておきました。
↓この曲です。「YES MY LOVE」
矢沢永吉で思い出すことと言えば、他に桑田佳祐との確執的な報道があった時の矢沢さんの対応です。
桑田佳祐の曲「すべての歌に懺悔しな」が長渕剛と矢沢永吉のことを揶揄している、との報道があり、それに対しての矢沢さんのコメントが、
「お互いクリエイター。全然気にしてないよ。それより桑田君の方は大丈夫?」
というものでした。
自分が揶揄されているのに、揶揄している相手のことを気遣う懐のでかさ。
「この人は器のでかい人だなぁ」
という感想を抱き、この出来事でも気になる存在ではありました。
「成り上がり」を読んでみて
一通り読んでみると、また彼に対する印象が変わりました。
もともと矢沢さんに抱いていたのは、ピュアで懐がでかいという印象でした。
しかし、本を読んだ後は、「かなりシビアで目的のためには冷酷になれる、したたかな人」という印象に変わりました。
とりあえず、まずは生きるために食わなきゃならない。
そのためには、なりふりなんて構っちゃいられない。
人を欺いてでも成り上がってスーパースターになる。
矢沢永吉と松本人志の共通点
「貧乏」で「したたか」ということで連想したのが、ダウンタウンの松本人志さんでした。
彼も売れるためには相当にしたたかだったと思います。
横山やすしの番組「ザ・テレビ演芸」にダウンタウン(当時はライト兄弟)が出演し、漫才をやりました。
しかし、横山やすしはダウンタウンの漫才を低く評価し、「チンピラの立ち話やないか!」と説教を始めたそうです。
ダウンタウンも相当悔しかったと思いますが、当時18才でまだ芸能界で何も力がなかった松本人志は、横山やすしに反論できるだけのバックボーンがありません。
その後、横山やすしさんは度重なる不祥事により、吉本興業を解雇されました。
暴行を受けて一時失語症になったり、晩年には極度に痩せて体調も悪かったようです。
そんな時に、松本人志は弱り切った横山やすしに対して、ここぞとばかりに彼を揶揄したコントを世に送り出します。
それが、ダウンダウンのごっつええ感じで発表された「やすしくん」です。
相手に力がある時にはグッと怒りをこらえ、相手が弱るのを何年でもしたたかに待ち続ける。
そして、弱り切った時にここぞとばかりに反撃をする。
貧乏というモチベーション
幼少期に貧乏だった矢沢永吉と松本人志。かたや音楽、かたやお笑いの世界で、どちらも日本を代表するエンターテイナーになりました。
幼少期に貧乏だったというのは、その後かなりのモチベーションにつながると思います。
私もそうですが、日本には中流家庭が多く、生きるか死ぬかという本当の貧乏を経験した人は少ないでしょう。
矢沢永吉さんの「絶対スーパースターになってやる!」という強い意志を感じたい人には「成りあがり」をお勧めします。彼の人となりがストレートに出ていて面白く、一気に読めました。
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