現金主義と発生主義 混在時の疑問点イメージ

現金主義と発生主義 混在時の疑問点イメージ

前回は「初めての青色申告体験」についてお話しました。

>>初めての青色申告体験談~税務署の記帳指導でなんとかなりました

今回は、白色申告から青色申告へ切り替える時に、「現金主義」と「発生主義」が混在してしまったために生じた疑問点と、その解決策についてお伝えします。

現金主義と発生主義の違いとは?

前回もお伝えしたように、私の場合、2014年まで副業で行なっていた仕事を、2015年1月1日から本業としてスタートさせました。

副業の時は「雑所得」で白色申告、本業になってからは「事業所得」として青色申告で提出、ということです。

白色申告と青色申告の記帳方法の違いに、「現金主義」と「発生主義」というものがあります。

「現金主義」とは、お金を現金で受け取ったり、預金口座などに入金された時点で記帳する方法で、「発生主義」とは、売上が発生した時点で記帳する方法です。

白色申告の場合は「現金主義」でも「発生主義」でもどちらでも良いのですが、青色申告は「発生主義」で記帳を行なわなければなりません。

私は白色申告の時には「現金主義」でしたので、今回から記帳方法が「発生主義」に変わることになりました。

切り替えに当たって、現金主義と発生主義が混在する期間があり、ちょっと悩んでしまいました。

説明がややこしいので、以下、例を挙げてご説明します。

現金主義と発生主義が混在するとはどういうことか?

売上が発生してから、売上金が2ヶ月後に銀行口座に振り込まれる場合を考えてみましょう。

たとえば、2014年の11月に10万円の売り上げがあったとします。

この10万円の売り上げは、2ヶ月後の2015年1月に銀行口座に入金されます。

私の場合、2014年時点では白色申告で「現金主義」でした。

「現金主義」では入金時点で記帳しますから、2014年11月の時点では売上10万円は銀行口座に振り込まれていないので、記帳する必要はありません。

2015年からは青色申告に変わりましたので「発生主義」になりました。

「発生主義」は売上が発生した時点で記帳します。

そうすると、2014年の11月に売上を記帳しておくべきだったのに記帳していなかったため、2015年1月に10万円が入金されても、売上は記帳できないことになってしまいます。

それでは、この2014年11月分の10万円の売上はどこにも記帳されないで、宙に浮いた状態になってしまいますよね。

この「現金主義」から「発生主義」の混在している時期に、2014年と2015年のどちらに売上を記帳すれば良いのかわからなくなり、ちょっと悩んでしまいました。

言葉で説明するとややこしいですが、仕訳で書くと以下のようになります。

【現金主義の場合】
2014/11/31 ←何も記帳しない
2015/01/10  100,000 普通預金 / 売上 ←入金時のみ記帳すれば良い

【発生主義の場合】
2014/11/31 100,000 売掛金 / 売上 ←2014年11月に売上を記帳する
2015/01/10 100,000 普通預金 / 売掛金 ←2015年1月に入金を記帳する

2014年の11月に「売上 / 売掛金」の仕訳を記帳していなかったため、2015年1月に「売掛金 / 普通預金」と書くと、「売上」がどこにも記帳されない状態になってしまいます。

ちょっとわかりづらいかもしれませんが、ご理解いただけたでしょうか。

宙に浮いてしまった売上はどこに記帳するのか?

解決策として考えられる方法は3つあります。

①どこにも記帳しないで放っておく

②2015年分に売上として記帳する

③2014年の申告分を修正して再提出する

1つずつ検証していきましょう。

①どこにも記帳しないで放っておく

これは、一番やってはいけない対応です。

記帳しないということは、税務署から「売上を意図的に隠した」と見なされても文句は言えません。

下手をすると犯罪者になってしまいますのでご注意を。

それでは、②はどうでしょうか。?

②2015年分に売上として記帳する

仕訳としては以下のようになります。

2015/01/10 100,000 普通預金 / 売上

これは、半分正解で半分不正解です。

人によっては、この方法で良いと答える人もいました。

厳密に言うと間違いなのですが、結構よくある事例のようで、「税務署もわかってくれるのでそこまで厳しく問い詰められることはない」という前提での対応策です。

売上をどこにも書かない①よりはマシだけど、正しい方法とは言えない、ということのようです。

③2014年の申告分を修正して再提出する

すでにおわかりでしょうが、これが正解です。

正々堂々と間違いを修正申告しさえすれば、こちらには何もやましいことはありません。

「税務署員に問い詰められたらどうしよう…」などと余計な不安に怯えることもなく、精神衛生上も良い状態で今後の仕事にも専念できるでしょう。

さて、それでは私は一体何番を選んだと思いますか?

実は、私は「①どこにも記帳しないで放っておく」を選んでしまいました。

「一番やってはいけない」などと偉そうに言っておきながら、何故①を選んだのかと言いますと、それにはちょっとワケがあります。

ちなみに、私の独断で①を選んだわけでは決してありません。

きちんと青色申告会のお姉さんに相談して「記帳しなくても大丈夫ですよ」とお墨付きをいただいたのでそうしたのです。

なぜ売上をどこにも記帳しなくて大丈夫だったのか?

なぜ「①どこにも記帳しないで放っておく」でも大丈夫だったのかと言いますと、2014年の副業の収支が大幅な赤字だったからです。

大幅な赤字だったため、2014年分に売上として入れるべき金額を修正して入れたとしても、税金の額は変わりません。

つまり、今回修正申告することによって、税務署に収める税金が新しく発生するというわけではありません。

修正申告が必要なのは、税額が増える場合のみであって、「税額が変わらないなら、わざわざ修正申告する必要はないよ」ということです。

税務署にとっても、税金を多く収めてくれるのであれば歓迎するけれど、変わらないのに書類だけ出されても面倒が増えるだけだ、ということなのでしょう。

そんなわけで、私の場合は①の「どこにも記帳しないで放っておく」という対応で済んだのでした。

私の場合、「②2015年分に売上として記帳する」を選んでしまうと、今年収める税金が増えてしまうため、もともとは2014年分の修正申告をするつもりでした。

しかし、わざわざそんなことをする必要がないことがわかり、余計な手間をかけなくて済んだというわけです。

修正申告をしたとしても、その体験がブログのネタになりますので、それはそれで良かったのですけどね。

この「現金主義」と「発生主義」が混在している時期の問題は、記帳指導を受けた時に、質問していた人がいましたので、疑問に感じている人も案外多いんじゃないかなと思い、今回記事にしてみました。

ご参考になれば幸いです。

それでは、今回はここまでとさせていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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